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1996.12.20

あたらしや旅館

以前在籍していたSKM設計計画事務所で担当させて頂きました。

白馬は冬はスキー・スノーボード、夏は登山など、昔から山々のレジャーやスポーツのメッカとして知られた土地です。あたらしや旅館はこの地域でも早く昭和初期から民宿として多くの愛好家を迎えていました。

この計画では全体的な建てかえではなく、古くからの民家建築を活かした改修と増築工事を行い新旧織りまぜたストーリーを持つ再生計画となりました。
本館はそれまでの増改築で隠れていた5寸6寸の立派な柱や梁・小屋組を現しにし、本来の原型に近い懐の深い空間が出来ました。本館に接続して新しい客室新館を増築しました。新館客室からは白馬の山々を望むことが出来ます。敷地内には蔵があり、本館から地下道で接続できる面白い空間がありました。それまではバックヤードに使われていましたが、宿泊者の滞在中の楽しいスポットにしよう、というテーマが打合せ中に生まれました。蔵に増築する形で温泉風呂と露天風呂を設け地下道で行き来させるプランとなりました。地下道に併設した食品庫は格子越しに見える配置としたので、温泉風呂に行くたびに、様々な自家製お漬け物や保存食を眺めながら夕食のお膳を想像する、というシナリオになっています。

私はこのプロジェクトに携わったことで、「古い物を活かすこと」「場所を発掘して新しい居場所をつくること」「お客さまへのおもてなし」「地方、地域での拠点造り」「その土地の暮らし」「気候・環境と建物」など多くのことを学ぶことができました。その後の設計活動で、人と人が活動する空間について考えるときの原点になっています。

アルバムの最後に独立後、登山客として泊まった時の最近の写真を追加しました。玄関正面の帳場の梁は太くずっしりと迎えてくれ、昔のスキー板やスキー靴、白馬の山の写真、珍しい人形の飾りもの、などなど、興味深いものが、其処此処に丁寧に飾られています。手料理はもちろん添えられたお漬け物がとても豊富でこれまた美味しいのです。こちらのオーナーご夫婦ご家族の手作りのホスピタリティという物を又新たに教えて頂きました。
あたらしやの皆様、そして恩師であるSKM設計事務所の柴田先生、諸先輩方、改めてどうも有り難うございました。
所在地 長野県 白馬村
主用途 旅館
構造 茅葺き屋根を持つ民宿の改修 在来木造増築
規模 地上2階 地下1階
設計 SKM設計計画事務所(在籍時担当)
竣工 1996年12月
2016.02.25 鍋達、本達の居場所づくり。
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